今年に入って「コオロギ食」という言葉をよく見るようになりましたね。

理由はネットによる炎上と、日本ではネガティブに捉えられています。

確かに豊食の時代となった今の私たちにとっては、昆虫食は嫌悪してしまうもの。

まだ普及にはほど遠い状況です。

欧米ではコオロギ食は普及しているのでしょうか?

今回はコオロギ食について以下の情報をまとめました!

この記事でわかること

  • なぜ昆虫食が注目されているのか?
  • コオロギが食用として注目されている理由
  • 欧米でのコオロギ食の普及状況
  • 日本でのコオロギ食の普及状況と炎上の理由
  • コオロギ食の市場規模の展望

なぜ昆虫食が注目されている?

はじめに、どうして昆虫食が大きく注目されているのか、
そのきっかけを簡単に解説していきます。

どうして昆虫食が今流行ってるんだろう?

昆虫食が注目されるようになったきっかけ

きっかけは、2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)で発行された報告書でした。

昨年の2022年に世界の人口が80億人を突破。

約30年後の2050年に地球の人口が20億人増え、100億人になると推測されています。

この爆発的な人口増加で懸念されているのが深刻な食料不足

その中でもタンパク質が特に不足するとされています。


また、世界の温室効果ガス排出量のうち、
農林畜産などの割合が20%を超えているというデータも出ています。

よくテレビなどでも牛のゲップには二酸化炭素が多く含まれていて、

海外ではげっぷ税なるものがある、と言われていますよね。

人口が増えることで、食糧や環境に関する問題が出てきています。

これらの対策として有用とされているのが、コオロギをはじめとする昆虫なのです!

昆虫食のメリット

昆虫食の大きなメリットは、資源を効率的に利用できることです。

昆虫は他の家畜と比べると、同じ量のタンパク質を生産するのに
必要な餌や水の量が少ないことがわかっています。

つまりコストが低く済むということ!

また、昆虫は体重あたりのガス排出量が少ないため、環境にも優しいです。

それに、昆虫は家畜よりも小さいので、生産スペースも小さくできます

家畜を育てるには広いスペースが必要で、それによる森林伐採が問題となっています。

昆虫であれば飼育場所に関する問題も解決できるということですね。

よく、昆虫食は世界を救うなどと謳われていますが、
あながち間違いではないのです。

環境や生産にメリットがあるから注目されてるのか!

昆虫食になぜコオロギが選ばれている?

世界では約1,900種類もの昆虫が食べられており、
その内、コオロギなどの甲虫類は31%も消費されています。

コオロギには3つのメリットがあるとされています。

1.栄養価が非常に高い

コオロギには豊富な栄養素が詰まっています。

  • 文献によって差はあるが、コオロギに含まれるタンパク質量は食用肉と比べると高い
  • バリン、イソロイシンといった必須アミノ酸(食事でしか摂れないアミノ酸)を多く含む。
  • 日常生活で不足しがちな、亜鉛、鉄分、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれる。
  • 中性脂肪や悪玉コレステロールを減らすオメガ3脂肪酸が豊富。
  • キチン質と呼ばれる食物繊維も多く含まれており、腸内環境を整える効果がある。

栄養という観点から見ると、食用肉より優れていることがわかっています。

2.温室効果ガス削減

コオロギも他の昆虫の例に漏れず、飼育に必要な水の量が少なく済みます

そのため、排出する二酸化炭素の量を削減することが可能です。

近年はSDGsが注目され、より一層環境に対して積極的な施策がされています。

環境にも配慮できるという点でも、コオロギには利点があります。

3.食品ロスの解決

コオロギは雑食でどんな物でも食べることができます。

つまり、食品残さや廃棄物を餌として飼育することが可能です。

他の家畜では使えず、捨ててしまうものを飼料として利用できるので、
食べ物を無駄なく利用できるということになります。

欧米でコオロギ食は普及している?

株式会社日本能率協会総合研究所の調査によると、
昆虫食の市場規模は2020年から拡大し続けていることがわかっています。

FAOが2013年に発表した報告書を受けて、2010年代中頃から
昆虫食の市場に新規参入するベンチャー企業が増加。

2018年には、EUが昆虫を食品として認可しました。

こうした昆虫食を普及する機運が高まったことが、
市場拡大の背景と考えられています。

北欧のフィンランドでは、まだ昆虫食が今ほど注目されていなかった2019年の時点で、
スーパーなどで乾燥コオロギ食品が並んでいるという記事が出ています。

ヨーロッパを中心に昆虫食の普及が進んでいるようですね。

そして2025年には昆虫食市場が約1,000億円となると推測されています!

出典:PR TIMES

規模としてはまだ大きくはありませんが、少しずつ市場が拡大しつつあります。

良い方向で注目を浴びれば一気に伸びる可能性もあります。

流行るコオロギ食、日本では逆風か

日本でもコオロギ食を普及する動きが少しずつ進んでいます。

無印良品で知られる良品計画は、2020年から、
コオロギせんべい」や「コオロギチョコ」を発売しています。

コオロギを粉末状にしたコオロギパウダーを使用しているため、
見た目は普通のお菓子と変わりません。

また、日経トレンディと日経クロストレンドによる、
「2021年ヒット予測ランキング」ではコオロギフードが5位に選ばれました。

このように、日本でも普及が進みつつあるコオロギ食ですが、
今年起こったある炎上によって逆風となっています。

敷島製パン(Pasco)のコオロギパンが大炎上!

きっかけは敷島製パンのツイートに非難が集まったことです。

敷島製パンはKorogi Cafe(コオロギカフェ)というブランド名で、

これまでコオロギパウダーを使用したパンやお菓子を販売しています。

しかし、徳島県の高校でコオロギパウダーを使用した給食が出た、というニュースで状況が一変。

子どもに虫が入った給食を食べさせるとは何事か!

という怒りの声があがるようになったのです。

ちなみに、コオロギで作られた給食は選択性で、
強制などはありませんでした。

その後はSNS上で昆虫食の是非に関する議論が起こるようになりました。

中には、「政府が昆虫食に莫大な公金をかけている」というデマも広がるように。

日本のSNSでは、異常な正義感で事実かを確認せず叩く層がいます。

その層は声が大きく影響力も高いため、標的にされると、
炎上の理由が正しくなくてもマイナスの影響を受けてしまいます。

それに加え、今回は何でも政権批判に結びつけようとする層に
目を付けられたことも大きいでしょう。

現在では騒ぎは落ち着きつつありますが、コオロギ食を含めた
昆虫食の普及は下火になると予想されます。

コオロギ食の懸念はアレルギー

今回、炎上した経緯は率直に言うと、事実が曲解されていまった事故のようなもの。

しかし、コオロギ食には大きな懸念点があります。

それが食物アレルギーです。

コオロギはエビダニとアレルギー的に重なることが知られています。


そのため、エビやカニアレルギーを持つ人はコオロギ食でも、
アレルギーになる可能性があるとされています。

また、昆虫特有のアレルギーをもつ可能性もあります。

今後、コオロギ食に関する炎上が起こるとすれば、
アレルギーだろうと専門家が推測するほどです。

食品の衛生面については特に厳しく見ている日本。

今後、食用昆虫に関する検証が本格的に行われると思われます。

そのため、欧米と比べると普及のスピードはかなり遅くなるでしょう。

日本では虫への嫌悪感が強いし、普及は難しそう…

昆虫食の今後の展望は?

今回の炎上もあり、昆虫食の普及はまだまだ遠いものと考えられます。

しかし、昆虫の利用は人が食べるだけではありません。

昆虫には家畜用飼料としての価値も注目されています。

フィッシュミールの代わりに昆虫ミールを使用することで、
コストを下げられるという予測もされています。

家畜が食べるのであれば、抵抗感が少なくなる人も増えてくるでしょう。

人間の食用ではまだ追い風ですが、
飼料の方で普及が進んでいくかもしれません。

まとめ

今回のまとめになります。

今回のまとめ

  • 昆虫食が注目されているのは、食糧不足や環境問題を解決するため
  • コオロギは、栄養価が高い、環境への負担が少ない、食品ロスを防げるといったメリットがある
  • ヨーロッパでは昆虫食の市場が少しずつ拡大している
  • 日本でもコオロギ食は普及されているが、炎上もあり、今後は下火になる
  • 食用としてではなく、飼料として利用される可能性もある


未だに「ゲテモノ」としてのイメージが根強い昆虫。

世界的な食糧不足を解決すると謳われていても、
やはり強い抵抗感があります。

食用として理解されるには長い時間がかかるため、
特に日本の市場での拡大は難しいと思われます。

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