2023年3月24日、総務省は京都市が「空き家税」を創設することに同意しました。
全国初の「空き家税」を導入する京都市は、空き家やセカンドハウスへの課税を嫌がった持ち主が売却や賃貸として物件を世に流通させることを目的としています。
30代2児の母。
結婚妊娠を機に資産形成を日々勉強しています。
今後不動産投資に興味のある私にとって、「空き家税導入」は非常に興味深い内容です。
今回は、不動産のことならお任せ!宅建資格を持つ「となりさん」にお話を伺いました。
空き家税導入は、今京都に家を持つ人だけでなく、今後不動産投資を考えている人にとってもとても重要な情報が詰まっています。
空き家税の仕組みとともに、なぜ空き家税導入に踏み切らなければならなかったのかという理由をみていきましょう。
【結論】財政難地域の不動産投資に成功なし!
市場に多く物件が出回るということは、物件価格も下がるということですよね?
これをきっかけに不動産投資を始めたいと思う人も多いと思うのですが…?
今回の京都市に限らず、物件価格が落ちる地方自治体にはかならず財政難になる理由があります。
データ画像引用元:president online
一見聞き覚えのある大都市も含まれているように思いますけどね?
しかし、地域名やブランドだけを見て「お値打ち価格じゃん!?」と格安物件に飛びつくととんでもないことになります。
財政難地区では、市民の流出がとめられず、必要な資金を集めるのが難しいという問題を抱えています。
そのような地域に投資するのは、いずれ住み手の確保が難しくなりとても危険です。
逆に、人口の多い東京をはじめとした都心部が安定して運用することができます。
長い将来を見据えると、都心部への不動産投資は非常に安心感があります。
また、空き家税導入をきっかけにこれまで放ったらかしにされていたオンボロ物件も出回ることが予測できます。
これをきっかけにオンボロの物件を格安で手に入れて、比較的安い家賃で不動産投資をしても良さそうに思いますけどね?
ボロ物件は、耐震基準以外にも
- 結局長期的に住んでくれず空き家になる
- 家賃未払いケースの確率が高い
などといったリスクが付きまといます。
ボロ物件で不動産投資をするのは、もはや自分から借金地獄に突っ込みにいくのと同じです。
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京都市がエグいやり方で税金を搾取!大家泣かせの空き家税とは?
「空き家税」は、「非居住住宅利活用促進税」が正式名称です。
<空き家の定義>
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
引用元:法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法第二条
上記は国土交通省で定められた定義ですが、あまりにもざっくりとしすぎているので「1年以上誰も住んでいない状態」「1年以上誰も使っていない状態」という目安があります。
ただ、今回導入される京都市の空き家税は、空き家以外の居住を目的としない別荘やセカンドハウスも対象となり、「個別事例ごとに判断していく」とのことで今後の動きに注目です。
住民票の有無ではなく、実際に日常的に住んでいるのかがポイントとなります。
住んでいない家の住民から税金をエグり取ることで、「これ以上税金が増えるのはごめんだー!」と空き家を手放し、世に出回っていなかった物件を流通させることが1番のねらい。
さらに「新たな住民から税金をガッポリもらってやろう!」というのが京都市の目論みなのです。
京都市空き家税の税額
京都市の空き家税の具体的な計算方法は以下の通りです。
①「家屋」の評価額の0.7%
+
②土地の評価額×単価建物の床面積の0.15〜0.6%
①と②を合算したものが空き家税となります。
大体現在の固定資産税の半額くらいの値段になるとのこと。
固定資産税と合わせるとこれまでの約1.5倍の納税額となります。
空き家税非対象となる物件
- 市の条例で保全対象となっている物件(京町家や景観重視物件)
- 固定資産税税評価額が100万円未満の物件(税制導入後5年以降は対象物件となる)
- 売却や賃貸を予定している物件
また、入院や転勤等も減免の対象となります。
空き家放置は厳禁!逃げた末は固定資産税が最大6倍になる
「誰も住む人がいないからとりあえず放置」リフォームはお金が掛かるから見て見ぬふり」と対応が後回しになりがちな空き家。
しかし、空き家を放置し続けると固定資産税が最大6倍に膨れ上がることを知っていますか?
誰かが住んでいる住んでいないは関係無しに、家屋や土地を持っている人は固定資産税を払う義務があります。
固定資産税は1月1日に家や土地を所有している人を対象が課税対象。
「固定資産税評価額×1.4%」が固定資産税の税額です。
ただ、空き家は放置すると老朽化で危険が生じたり防犯面でも管理が難しいため2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
※「特定空家等」とは?
空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項において「空家等」のうち以下の状態にあると認められるものをいいます。①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
引用元:東京都主税局
法律の定義に当てはまる「特定空家」に固定資産税が最大6倍にアップするのです。
特定空家に指定されるのは、老朽化が進んだかなりひどい状況の家屋ですが、誰も出入りすることがない空き家は想像以上に傷みが早いです。
誰も住む予定のない物件は、なるべく早い段階で賃貸にするか売却するのが最善の手でしょう。
空き家税はいつから発生する?
京都市は、空き家税を2026年以降に施行する方針としています。
でもなぜ2026年なのでしょうか?
実は京都市は、多額の借金を抱えています。ピーク時には総額8500億円という誰も笑えないレベルの借金に膨れ上がりました。
市の財源は主に市民からの税金ですが、それだけでは到底足りないため市が保有する基金から不足分を支払っています。
ところが、京都市の基金は2026年にも底をつきそうな状況なのです!
なぜ?京都市が空き家税を徴収しなければならなくなった理由
借金地獄からなかなか抜け出せない京都市ですが、なぜこんなにも資金集めに苦労しているのでしょうか?
市の財源は主に市民の税金である「市民税」と「固定資産税」から成り立っています。
しかし、京都市には市民税や固定資産税を他の地域と比べると大幅に徴収できない理由があるのです。
日本一厳しい景観保護条例
まず、京都市は歴史的な建造物や重要文化財が密集しているため、「昔ながらの景観を守っていこう!」という景観保護条例が非常に厳しい地区です。
その厳しさは日本一で、建物の高さ制限だけでなく広告や標識などにも街に溶け込ませるための条件が厳しく決められているのです。
確かに京都にはタワマンや高層ビルを見かけませんよね?
京都市は、昔ながらの平屋や日本家屋の一軒家が多いため効率よく住民税や固定資産税を徴収できないのです。
歴史的建造物や遺跡が多すぎる
また、歴史的建造物が多い京都。
金閣寺や清水寺、平等院鳳凰堂に伏見稲荷大社…。パッと思いつくだけでもかなりの数があります。
日本中の歴史的文化財がほぼ京都に密集していると言っても過言ではありません。
観光に困ることは無さそうだし、経済的にも潤ってそうですけどね?
ところが、多くの文化財はお寺や神社などで宗教法人が所有しています。
宗教法人の運営は非課税となっているため、残念ながら税金は徴収できないのです。
また、大型の商業施設を作っても遺跡が発掘されると工事は2〜3年ストップしてしまいます。
工事が遅れるだけでなく、発掘調査にも莫大な費用が掛かるため、大型建造物の建築は府や国からとても嫌がられているかわいそうな一面もあります。
実際に人が住んでいない空き家が多い
また、1番の問題は、実際に住んでいない「空き家」がめちゃくちゃ多いことです。
平成20年の住宅土地統計調査によると、京都市の空き家は全部で11万戸、空き家率は14.1%と示されています。
上記の表からわかるように、どちらの数値も全国、京都府の値を上回っています。
さらにこらまでの空き家の推移をみてみましょう。
画像データ引用:京都市「京都市の空き家の現状」
グラフからわかるように、空き家の数は安定の右肩上がり。
将来的にも空き家を着実に増やすであろうことが予測できますね。
でも、京都は落ち着いた雰囲気で一度は住んでみたいなと思うけどな…どうして人口の減少が止められないのでしょうか?
市ごとミイラ化も目前…深刻な京都市の空き家問題
「京都ブランド」という言葉があるように、京都という土地に憧れを抱く人も少なくないはず…。
実際に京都府は毎年おこなわれる「全国魅力度ランキング」でも常に上位入りを果たしています。
そんなみんなの憧れの京都市は、なぜこんなにも人口の減少や空き家に頭を悩ませているのでしょうか?
昔ながらにも程がらある!?若い世代には人気が皆無
京都市は、歴史ある一軒家や昔ながらの日本家屋が多いことで、街の景観が保たれています。
「風情があって良いな…」と思うかもしれませんが、いざ自分が住むことを考えてみましょう。
昭和レトロが流行っていますが、京都の昔ながらの家は築年数が昭和どころか古い場合には江戸時代まで遡ります。
レトロと言うより、まず耐震が気になりますね…
家の修繕リフォーム費用は多額となり、景観保護条例も守らなくてはならないため結構めんどくさいことになります。
さらに、観光地の京都は駐車場や物価ばかりが高くなり若い世代には住みにくのです。
そのため祖父母や親から相続せずに、他の土地に移り住む若者が増加しています。
京都市の高級住宅の大半は中国人富裕層が買い占めている
また、京都市内の高級住宅の多くは中国人の富裕層が買い占めているという問題もあります。
京都の不動産を購入する中国人は住居目的ではなく、観光客の宿泊施設とした投資目的です。
空き家ではありませんが、実際に住んでいる訳でもありません。
マンション一棟買い占めている中国人もいるため、市民税は超不足分状態。
苦しい財政が続きます。
京都市の空き家問題だけではないヤバい実態!なぜ財政破綻は起こったのか?
京都市は、多額の借金を30年以上ているというもはや財政破綻状態にあります。
空き家問題以外にも深刻化していく京都市の課題は山積みです。
実際に京都市は、災害が起きた場合など不足の事態に備える貯金がゼロ。
画像引用:ABCニュース
ちなみに貯金ゼロは全国を見渡しても京都市のみです。かなり深刻な自体と捉えられますね。
京都市がここまでの財政難に陥った理由は一体何なのでしょうか?
【地下鉄建設】バブル期に調子に乗りすぎた
京都市の財政破綻の最大の理由として、京都市営地下鉄の建造があげられます。
京都市営地下鉄は昭和56年に開業。
実にバブル全盛期に構築計画が持ち出されました。
計画が打ち出された当時、地下鉄の建設費用は2500億円。
ところが実際に掛かった費用はなんと5500億円‼︎‼︎‼︎
当然、府や国も費用を持ってくれていますが1000億円は京都市が普段しているのがそもそもの財政難の理由です。
ちなみに、1日における乗車客数の目標を開業当時から一度も達成したことはありません。
キレるのもわかる⁉︎府民税が京都市民に還元されていない
そしてもう一つの大きな問題は、京都市民が払っている「府民税」が十分に還元されていない!と京都市民は怒っていることです。
2018何度の決算書によると府民税収入2675億円のうち、京都市民や京都市内の事業所が全体の6割を占める1598億円を収めています。
ところが、補助金などで市に返還された額はわずか957億円…。
あくまでも府は「他の市との平等性を保っている」とし、改善の方向性は無さそうです。
京都市から出て行きたくなる理由もなんとなくわかりますね。
京都ブランドに騙されるな!財政難地区は儲けにならない
京都市の「空き家税」のニュースを耳にし、
「空き家売り捌く人が増える=京都市の不動産価格が下がる=不動産投資に最高じゃん!」
と思うかもしれません。
確かに京都は風情もあり一度は住むことに憧れる魅力的な場所かもしれませんね。
ただ、不動産価格が下がったからと言って京都市の不動産投資で大きな利益が見込めると思ったら大きな間違い。
財政破綻状態にある市町村では、住人の確保が難しく大きな儲けどころか借金を負債する最悪のシナリオになる確率大!
不動産で資産形成をするのであれば、物件価格が高くても「空き家が少ない都心部」が最優良候補です。
少々利回りが悪くても、長期的に安定した収入が見込めます。
資産形成はギャンブルではなく、積み立てるもの。
その場の物件の安さに騙されず、長い目でみて価値のある不動産と出会いたいですね。
この記事を書いた人
- 30代2児の母。結婚、出産をきっかけに学資保険、つみたてNISA、個別株の購入を通して資産形成を開始。
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