最近、Twitterでぼのぼのですよが話題になっていますね。
知っています。不動産会社の社長でなぜか炎上していますよ。
へー、どうしてですか?
それはこれからお話しします。今回は、ぼのぼの氏の経営する不動産会社で炎上した事件について書いていきます。
ぼのぼの氏ってどんな人?
Twitterで話題となっているぼのぼの氏。その本名は、廣兼卓真(ひろかねたくま)と言います。Twitterでは「ぼのぼのですよ」というアカウントで情報発信しています。他方、廣兼卓真さんは、株式会社ネクサスプロパティマネジメントの代表取締役を務めています。
ネクサスプロパティマネジメントはどんな会社?怪しいの?
会社の正式名称は、株式会社ネクサスプロパティマネジメントです。所在地は、東京本社及び千葉支店となります。平成30年に設立されました。資本金は1億円となっています。
事業内容としては、不動産の売買・賃貸・仲介、不動産管理業、建築に関する請負・企画・コンサルティング業、建築のリフォーム業、金融・不動産のコンサルティング業、損害保険の代理店業があります。
同社は、宅地建物取引業の免許及び賃貸住宅管理業者の登録がされています。また、顧問先の法律事務所や司法書士事務所があります。公益社団法人の全日本不動産協会や不動産保証協会に加盟しています。
これらの情報を見てみると、一応きちんとした会社であることがわかりますね。ここまででは怪しい部分はないです。
こんな事件があった!内定取り消し事件!
〇内定取り消し事件とは?
ネクサスプロパティマネジメントが怪しい会社であるかもしれないと思わせる事件が発生しました。それが内定取り消し事件です。
ぼのぼの氏は、ネクサスプロパティマネジメントの新規採用募集をTwitterで行いました。そして、23名に内定通知を行いましたが、入社直前(1週間前)に経営難で内定取り消しをしました。入社予定の方はユニオンに加入し、団体交渉をすると訴えています。
内定取り消し事件の問題点とは?
この事件においては何が問題なのでしょうか。その問題点を掘り下げてみます。 ぼのぼの氏は、Twitter上で新規採用募集を行っています。その内容はこんな感じです。
- 同社は不動産会社。不動産建売業、収益物件の販売などを行っている。
- 売上は今期20億円前後。経常利益は2.3~2.4億円。
- 社員は23人ほど。
- 固定給と歩合制をとっていて、稼げる人は年間8000万円稼いでいる。
- 採用人数は16人から20人。
ここで気になるのは、売上20億円の会社で本当に年収8000万円も稼げるのかということですね。また、入社1週間前に内定を取り消したことが許されるのかも問題となります。
ネクサスプロパティマネジメントの年収8000万円は怪しい?
売上について
売上は今期20億円前後で、経常利益が2.3~2.4億円と言っていました。これは同社の売り上げが高いことを示しているのでしょうか。
同社は資本金が1億円であり、法人税法上の中小企業にあたります。しかし、中小企業基本法の中小企業の定義にはあてはまりません。そのため、大企業であるとも考えられます。
以下のグラフを見てください。これは、中小企業の売上高の分布を示しています。このグラフによると、中小企業で売上高10億円超えのところは約3%ほどであることがわかります。
参照:中小企業庁:2021年版「中小企業白書」 第1節 多様な中小企業・小規模事業者 (meti.go.jp)
同社を中小企業であると考えると、売上高20億円前後ということは中小企業の中でも売上高が大きいと言えます。
他方、日本経済新聞における大企業の不動産業の売上高ランキングを見ると、1位は三井不動産で約2兆1千億円、2位は飯田GHDで約1兆3千億円、50位のウッドFで約423億円、100位のグッドライフで73億円です。そのため、売上高20億円という数字は小さいと考えられます。
参照;売上高ランキング :ランキング :マーケット :日経電子版 (nikkei.com)
経常利益について
経常利益についても同じように考えられます。すなわち、中小企業の不動産業の平均的な経常利益は910万円であるため、これと比較すれば同社の経常利益は大きいと言えます。他方、大企業の経常利益についても、大きいところは1千億円を超えるため、同社の経常利益は小さくなります。
そうすると、同社の売上と経常利益は、一般的な中小企業よりも大きいが、大企業の中では小さいということが言えます。
年収8000万円も稼げるのか
それでは、従業員が年間8000万円を稼げるというのは現実的な数字なのでしょうか。
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査を参照すると、不動産業の場合、平均年齢39.7歳の平均年収は549万円です。また、不動産業の勤務先の規模別の年収は、従業員10~99人で549万円となります。そのため、社員数23名の同社において年間8000万円稼ぐというのは、平均年収から考えると現実的ではないです。しかし、上記調査は調査の母数が少なく、実態を反映していない可能性はあります。一応の指標として考えてください。
以上からすると、同社の情報自体は怪しくないですが、年収8000万円という部分は怪しいということがわかります。
入社1週間前の内定取り消しは許されるの?
内定とは
内定は、労働契約の1つであり、法的には始期付解約権留保付労働契約となります。簡単に言うと、働く時期(始期)が定められている労働契約ですが、企業が解雇する権利を有している状態(解約権留保)であるということです。したがって、企業側が正当な理由に基づいて内定を取り消すことは許されます。
厚生労働省の方針とは
しかし、厚生労働省は、事業主の一方的な採用内定取り消しは対象者とその家族に打撃と失望を与えるとして、決してあってはならない重大な問題と考えています。
その上で、新規学校卒業者の採用に関する指針において、事業主は、採用内定取り消しの対象となった者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、補償等の要求に誠意をもって対応することが求められています。 そのため、仮に一方的な内定取り消しの対象者が新卒の方であった場合には、補償等を請求することができると考えられます。
正当な理由はあるのか
また、企業が解雇をする場合には正当な理由が必要となります。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
労働契約法第16条
そのため、解雇が合理的な理由を欠く場合や一般的に考えて相当でない場合には、解雇の無効を主張することができます。
どのような場合が不当解雇にあたるかについてはケースバイケースなので一概には言えません。しかし、不当解雇が認められやすい事例はあります。たとえば、赤字経営が続いていたために内定を取り消した場合、企業側に人員採用の余裕がなかった場合などがあります。これらの場合は企業側に落ち度があるため、不当解雇として認められやすいです。
今回の場合を見ると、事情が少ないので何とも言えません…。
内定取り消しの理由、会社のこれまでの経営状況、入社1週間前に取り消しをしなければならなかった理由などを総合的に考慮して、不当解雇にあたるかどうかを判断する必要があります。
内定取り消しをされないためには?
SNSを使用しての求人は多くあります。その中で今回の事件のように内定取り消しをされないためには、その会社の実態があるのかどうかについて正確な情報を調べる必要があります。
たとえば、会社名だけでなく、住所、代表者名、電話番号、会社に厚生年金の被保険者がどれだけいるかなどの情報を調べてみる方法があります。また、タウンページなどの企業情報データベースを調べることもおすすめです。
ちなみに株式会社ネクサスプロパティマネジメントの被保険者数は2人だけでした…。
まとめ
それでは、今回のポイントを見てみましょう。
今回のポイント
・ぼのぼの氏=廣兼卓真。株式会社ネクサスプロパティマネジメントの代表取締役。
・同社は不動産売買などを扱う会社で、資本金は1億円。
・Twitter上で採用募集をしたが、内定者23名の内定を入社1週間前に取り消した。
・同社の売上と経常利益は中小企業の中では大きいが、大企業の中では小さく、年収8000万円は非現実的。
・内定取り消しは正当な理由があれば許されるが、経営難の場合は不当解雇に当たる可能性あり。
・内定取り消しを避けるためには、会社の正確な情報を収集する必要あり。
ということで、今回のような内定取り消し事件に遭遇しないためには、会社の正確な情報を調べる必要があります。また、これは不動産投資をする際に不動産賃貸の申込をするかどうかを判断するときにも同じことが言えます。
そのため、怪しい不動産会社がある場合には、会社の情報収集することが大切です。
この記事を書いた人
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・法科大学院を卒業
・司法試験の受験生
・経理を3年間担当
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