今、不動産投資のための賃貸物件を探しているのですが、良い物件はありますか?
仲介手数料無料の物件なら良い物件ばかりだと思いますよ~
ちょっと待ってください!仲介手数料無料の賃貸物件でも要注意な物件はありますよ。
皆さんも仲介手数料無料の賃貸物件について聞いたことがあるかもしれません。しかし、その中には要注意なものも含まれています。そこで、この記事では、仲介手数料無料の賃貸物件のデメリットと注意点について書いていきます。
仲介手数料ってそもそも何?
物件を借りる際に法律上発生する料金とは
物件を借りる契約を賃貸借契約と言います。賃貸借契約は民法上の契約であり、その料金については次のように定められています。
「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。」
民法第601条
「賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、・・・。」
民法第622条の2第1項
これらの条文からすると、法律上発生する料金は、賃料(家賃)及び敷金のみとなります。このうち、敷金は、未払い賃料や修理費用、明渡し時の原状回復費用などのために賃貸人(大家さん)が預かる一時金を言います。
物件を借りる際に事実上発生する料金とは
物件を借りる際に法律では定められていませんが、事実上発生する料金もあります。それが、仲介手数料、礼金、更新料などです。
- 仲介手数料は、物件を紹介してもらった不動産屋に支払う料金のことを言います。不動産屋が大家さんと交渉してくれるため、そのお礼として手数料を支払います。
- 礼金は別名「権利金」とも呼ばれるもので、家賃の一部前払いや賃借権(物件を使用する権利)の対価、不動産屋に対する手数料という意味などがあります。敷金は物件を返還する際に大家さんから返還される料金ですが、礼金は返還されないという点で異なります。
- 更新料は、物件を借りる契約を更新する際に大家さんに支払われる料金を言います。これも大家さんから返還されない料金となっています。更新料は特約がなければ支払う必要はありません。
仲介手数料無料のからくりとは?
仲介手数料っていくら支払うの?支払わないといけないの?
仲介手数料の上限は、国土交通省の規則によると、家賃1か月分の1.1倍以内だと決められています。たとえば、家賃1か月6万円の物件ならば、仲介手数料は6万6千円が上限となります。
そして、不動産屋が報酬として入居者に対して請求できる金額は、原則として家賃の0.55倍分です。つまり、家賃1か月6万円の物件であれば、不動産屋が請求できるのは3万3千円となります。
もっとも、例外的に入居者の承諾があれば、家賃1か月分の全額を請求することができます。実際は、ほぼ例外が適用されます。見積書などに入居者が全額を支払う旨が記載されており、入居者はこれを承諾して申し込むためです。
なお、仲介手数料は法律上発生する料金ではないため、その下限はありません。したがって、仲介手数料を無料にすることが可能なのです。
不動産屋はなぜ仲介手数料無料にできるのか?
不動産屋が大家さんを兼ねている物件(自社物件)、また、大家さんから不動産屋が管理を任されている管理物件については仲介手数料無料になることがあります。仲介手数料をもらわなくても、入居後の家賃収入を得ることができるためです。
また、物件を紹介すればADがもらえるというAD物件も仲介手数料無料になることがあります。
- ADとは、advertisementのことで、広告という意味です。
- AD物件は、大家さんから不動産会社に紹介料が支払われる物件のことを言います。
AD物件にあたるか否かは、管理会社から送られてくる図面に記載されています。たとえば、AD100だと家主や管理会社から不動産会社に家賃1か月分、AD50は家賃半月分、B100はBack100で広告料が支払われるという意味になります。
AD物件はシリーズ物件や投資用のワンルームマンションなどに多いです。また、AD200や300の場合は、シリーズマンション、新築マンション、空室が多いマンションなど絶対に勧めたい物件であると言えます。
このように、不動産屋の自社物件やAD物件の場合は仲介手数料を無料にしても不動産屋に利益が出るため、手数料無料の物件が多いと考えられます。
仲介手数料無料にはデメリットがある…
仲介手数料に含まれない費用を請求される!?
仲介手数料が無料となっていても、その他に別名目で費用が発生する場合があります。たとえば、鍵交換費用、消毒消臭費用、24時間サポート、生活安心サポート、簡易消火器の費用、事務手数料、書類作成費用などがあります。これらの費用は、主にオプション料金として上乗せされるものです。そのため、初期費用が高くなってしまう場合があります。
仲介手数料を無料にする分、このようなオプション料金で利益を上げようとする不動産屋もいるということです。
家賃などが高めに設定されている!?
仲介手数料を無料とする代わりに家賃や管理費、敷金、礼金が高めに設定されている場合もあります。その場合、初期費用を抑えられても最終的に支払う金額が高くなるため、注意が必要となります。
解約違約金の特約が付くかもしれない!?
特約は、契約をする上で特別に定められる事項を言います。これに同意した場合、入居者と不動産屋との間の当該契約において効力を生じます。
仲介手数料が無料となっていても、短期間で退去したときに違約金が発生するという特約が付される場合があります。たとえば、「1年間で引っ越した場合は違約金として家賃1万円を支払う」という内容のものがあります。
特約の有無をしっかりと確認した上で契約する必要がありますね。特にすぐに引っ越す可能性がある場合には注意が必要です。
良い物件を紹介してもらえない!?
仲介手数料無料にこだわりすぎると、AD物件や自社物件など不動産屋が販売したい物件ばかり紹介され、希望に合う物件が見つからないこともあります。
なお、AD物件は大家さんが費用をかけてまで満室にしたい物件であり、不人気物件である確率が高いです。
希望条件が決まっている場合には、仲介手数料無料の物件だけでなく幅広く物件を紹介してもらうことをお勧めします。
どのような不動産屋が良い?
多くの種類の物件を紹介してくれる!
物件の希望条件などを提示したときに、多くの種類の物件を紹介してくれる会社は信頼できます。その不動産屋の利益にならない物件も紹介してくれる可能性があるためです。
つまり、入居者の利益を優先的に考えてくれる会社が信頼できます。
条件に一致する物件の資料をすぐに知らせてくれる!
希望条件に一致する物件が出てきたら、すぐにメールで物件資料を送ってくれる不動産屋があります。このように入居者にとって利益になる情報を迅速に開示する会社であれば、入居者の利益を優先しているため、信頼できる会社と言えます。
物件のURLを送信したら、図面などをすぐに送ってくれる!
これも迅速に対応してくれる点で入居者の利益を考えていると言えます。
また、図面にはAD物件であるか否かが載っており、AD物件について説明してくれるのであれば、なお良い不動産屋と言えます。仮に載っていない場合でもAD物件であるかどうかを質問すると良いです。
家賃交渉などをしてくれる!
仲介手数料が有料である物件でも手数料を無料にしてくれたり、礼金等を上乗せしなかったり、大家さんに家賃交渉をしてくれたりする場合は、信頼できる不動産屋と言えます。
なお、AD物件であるにもかかわらず仲介手数料を取る不動産屋や礼金を上乗せする不動産屋もあります。これらは入居者の利益よりも不動産屋の利益を優先するものであり、入居者が損をする可能性が高いです。そのため、このような不動産屋とは契約しない方が良いです。
仲介手数料無料で損をしないために!
仲介手数料無料の賃貸物件についてのポイントをまとめるとこうなります。
- 仲介手数料は不動産屋に対する紹介料であり、無料にすることができる
- 仲介手数料無料の物件には不動産屋の自社物件や管理物件、AD物件がある
- 仲介手数料が無料でも別名目の費用が加算されて初期費用が高くなることもある
- 仲介手数料無料のAD物件は不人気物件の確率が高い
- 仲介手数料が無料になる代わりに家賃が高い物件もある
- 様々な情報を開示する等入居者の利益を優先する不動産屋は信頼できる
- AD物件であるか否かは不動産屋に聞いた方が良い
- 仲介手数料が有料の物件でも家賃交渉などは可能
仲介手数料無料の物件は一見初期費用が抑えられてよいかもしれませんが、最終的な支払金額が高かったり、条件の悪い物件だったりするため、注意が必要です。仲介手数料無料という言葉に飛びつくのではなく、その他の条件を考慮した上で契約するか否かを判断するのが良さそうです。
この記事を書いた人
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・法科大学院を卒業
・司法試験の受験生
・経理を3年間担当
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