ついに、恐れていたことが起きました・・・

2023年3月10日、

SVBファイナンシャルグループ傘下のシリコンバレー銀行が

経営破綻

しました。

アメリカ、カリフォルニア州の金融保護当局によって閉鎖され、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれたとのことです。

去年末の総資産は、およそ2000億ドル=27兆円と全米16位で、

アメリカの銀行破綻の規模としては、過去10年余りで最大、規模としては史上2番目の大きさです。

いつかまたくるだろうとは思っていましたが・・・

多くの投資家がアメリカ雇用統計に気を取られている間に、

横から急に不意打ちをくらうように、

銀行破綻リスク

という新しいリスクが生まれてしまいました・・・

投資家は、雇用統計にはもう目もくれず、このことで米国株市場は急落。

史上2番目の規模・・・

2008年のリーマンショックを連想させる出来事です。

頭をよぎりますよね。

金融危機の再来か?!

2023.03.11時点では、明らかになっていないことも多いですが、

現時点で分かったことをお話しします!

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シリコンバレー銀行(SVB)とは?

シリコンバレー銀行(SVB)は、

1983年に創業され、カリフォルニア州サンタクララに本拠を置く商業銀行です。

米国最大の銀行の 1 つであり、2016 年 6 月 30 日の時点で 25.9%の市場シェアを持ち、

シリコンバレーで最大の銀行でした。

主にスタートアップのテクノロジー企業への融資をてがけていました。

また、スタートアップ企業の成長を支援するために、資金調達やビジネスアドバイザリーサービスなど、多様な金融サービスを提供しており、

スタートアップ企業が上場する際にも、公開株式市場での初日の取引を支援することで知られていました。

米国国内では29のオフィスを持ち、インド、英国、イスラエル、カナダ、中国、ドイツ、香港、アイルランド、デンマーク、スウェーデンにも拠点があります。

シリコンバレー銀行はなぜ破綻したのか?

そんな米国の大きな銀行がなぜ、今、経営破綻したのでしょう。

紐を解くとおおまかな理由が見えてきました。

シリコンバレー銀行はどうやって儲けていたのか?

まず、銀行はどうやって儲けているか。

銀行のお金はどう動いているかを知ると今回の破綻の根源が見えてきます。

  1. 銀行の主な資金調達の手段は「預金」です。
    • 個人や法人などの預金者に対して利子を払い、預金を集めます。
    • 多くの人や法人が預金してくれると、銀行の資金は潤います。
  2. そして、「預金」で調達したお金を銀行は『資産運用します。
    • 銀行の資金は顧客のお金ですので、リスクが高い株式などに運用するのではなく、比較的安全な国債を買い入れます。
  3. 購入した国債から得ることができる利息収入が銀行の利益になります。

なぜ破綻したのか?

シリコンバレー銀行場合は、

預金者:主にスタートアップのテクノロジー企業

購入する国債:長期米国債権

となります。

シリコンバレー銀行がどのような経緯で経営破綻に至ったかまとめてみました。

2017年-2020年スタートアップのテクノロジー企業が活発でシリコンバレー銀行に多く預金
2020年4月コロナ対策で、金融緩和政策のためタートアップのテクノロジー企業への融資が活発
2020年4月以降シリコンバレー銀行はコロナ禍で流れ込んだ大量の資金を使って長期米国国債を購入
2022年物価上昇、インフレが起きる
2022年9月FRBにより、金融引き締め開始
→FRBが利上げする
長期米国国債の価格下がる
→シリコンバレー銀行では、長期米国国債価格の下落で含み損、財政状況悪化
更に、スタートアップのテクノロジー企業は、金利上昇で融資が受けられず資金繰り悪化し、徐々に預金を引き出しはじめる。
→シリコンバレー銀行は顧客が預金をさらに引き出すと考え、
 長期米国国債価格の売却と増資で財政立ちなおしを計画
2023年予想より早く顧客が預金を引き出し急激にシリコンバレー銀行の財政悪化
2023年
3月8日
緊急の増資計画を発表←失敗
2023年
3月9日
自社株のほぼ全て、22.5億ドルを1日で売却
→株価60%下落→取引停止になる
→取り付け騒ぎ
2023年
3月10日
経営破綻

私が調べた限り、時系列でみるとこのような流れになります。

シリコンバレー銀行は、

コロナ禍で流れた巨額の資金で長期米国国債を購入しましたが、

FRBによる昨年からの急激な利上げに伴い、これらの債券価格が下落。

よって、預金者への支払いに必要な資金を迅速に調達することが難しくなりました。

財政立ちなおしを計画していましたが、それよりも、顧客の預金を引き出すスピードに間に合わず・・・

最終的には、信用不安によって預金者が急激に預金を引き出してしまい、

経営破綻

になりました。

FRBの利上げのせいで破綻したとFRBに対する批判の声も多くあるようです。

シルバーゲートキャピタルについて

また、関連することとしてもう一つ、知っておいた方が良い事実があります。

シルバーゲートキャピタルについてです。

シルバーゲートキャピタルとは、

米国の銀行持株会社であり、2013年に設立され、本社はカリフォルニア州サンディエゴにある会社です。

主に仮想通貨関連企業に金融サービスを提供しており

仮想通貨関連企業が銀行との取引を円滑に行えるように仮想通貨業界の発展に貢献していました。

しかし、2023年3月8日、銀行業務を終了し、任意清算に踏み切ると発表しました。

仮想通貨の大手取引所のFTXの破綻により、資金繰りが悪化したといわれています。

シリコンバレー銀行が経営破綻をする2日前にも、

仮想通貨に融資をしていた銀行が実質的に倒産に追い込まれています。

今後どうなる?

多くのスタートアップの企業がシリコンバレー銀行に預金していたとされています。

仮想通貨界隈の企業でUSDコイン(USDC)の発行元、米サークル(Circle)がかなりの準備金の預けていたと報道されています。

また、シリコンバレーには、金利上昇で資金繰りが悪化している新興テクノロジー企業が多くあり、

そこにシリコンバレー銀行の破綻が重なると、連鎖破綻が起こる可能性はかなり高いと言えます。

他にも銀行は、

1つの銀行が破綻すると、その銀行が貸し出しを受けていた他の銀行に影響を及ぼすことが多いため、連鎖的な破綻が起こりやすい

といえます。

米国の記事にも以下のように書かれています。

米国の一部のアナリストの間では、銀行セクターの隠れたリスクや資金調達コスト上昇への脆弱性を巡る懸念から、影響がさらに波及するとの懸念もある。

出典:ロイターhttps://jp.reuters.com/article/idJP2023031101000049

そして、今後のFRBにも注目すべきです。

今回の出来事によって、

FRBの急速な金利上げが経営破綻を招いたと考えている人も多く、

FRBは今後、積極的に利上げをすることが難しくなったといえます。

インフレ鎮静目指すFRBにとって、

この出来事がどのように影響するのかも随時確認が必要です。

米国の今後の状況次第では、景気後退は免れず、

米国発信の世界恐慌が起こるかもしれません。

まとめ

今回のシリコンバレー銀行の経営破綻によって、リーマンショック級の不況が世界で起きる可能性があります。

アメリカの銀行とIT業界はかなり影響を受けそうです。

今はこれによる不安要素から、

資金が株式や米ドル、仮想通貨などのリスク資産から流出しています。

それにつられて米国株は低迷が続くかもしれません。

米国株の低迷は日本経済にも波及する恐れがあります。

今の自分の資産ポートフォリオをもう一度も見直してみましょう。

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